もし、世界で一番大切な人が、
「来てくれないと死んじゃう!」って言ったら、 行ってあげる?
++ 好きな人の条件 ++
それは 何気ない若者の会話中。
物語の中では決して語られないような、どこにでも、どこの世界にでもある、ごく普通の戦場から帰り道でのことだった。
わいわいと、
いつものメンバーが、今日も誰一人欠けることなく帰途についている。
そのことへの幸せを感じながら、小さなトラックの荷台に乗って、少女の一行は基地へと戻る。
そんな一コマで。
少女は彼に、尋ねた。
話の流れなんて、何もなかった。
いつものジープが道中故障したために その辺の作業用トラックを借り受けていて、
ゆれが激しく
あまりしゃべると、舌を噛むのだ。
だから、唐突に。
彼女は思いつめたように訊いたのだ。
「さぁ、 どうかな?」
少年はしかし、
そんな少女の気持ちとは裏腹に、
なんとはないような調子で 答えた。
「場合によるんじゃね?
ほら、たてこんでたら 行けないだろう・・・
そもそも俺って 連絡取れない状況にあること多いからな」
「そっか。」
そうだよね、 と 少女は感情を込めずに呟く。
わかっていた。
少年が、何より仕事を取ることを。
この世界を平和にするためなら、
自分の命も、人の命も厭わないことを。
まともに返す言葉を捜すことができず、
少女は自分の手を見つめる。
「あら、冷たいのね。」
「もてないわよー」
他の女性陣が、二人の会話に割って入った。
からからと笑うその声に、若干の同情が含まれているような気がするのは、気の所為だろうか?
「女心をわかってないなんて、 見た目良いのにもったいないわよー」
「あたしたちで鍛えてあげましょうか?」
「っるさいな。別に良いんだよ。」
そんな周りの声をぼんやりと聞きながら、少女は、ひとり、勝手に惨めさを感じる。
もうあたりはすっかり暗くなっていて、
それでも基地はまだ遠い。
この世界に家族なんていない彼女には、
夜は、とてつもなく寂しいものに感じられて・・・・・・
「・・・というかさ、」
不意に少年が口を開いた。
まっすぐに、その視線を少女に向けて。
「俺は、そんなことを言う奴とはどんな人間関係も結ばないからな。」
「・・・・・・」
「俺自身がいついなくなったって可笑しくないんだから、
俺の周りにいる奴は、それでも強く生きていける奴じゃないと、な。」
なぁ? と、 彼は
少し離れたところにいた、自分の親友に同意を求める。
「さぁね?」
彼の親友は、くすりと笑うと、
他の者と同じく、少女に同情の表情を向けた。
「・・・・・・ 大丈夫。 ちゃんと強く生きるもん。」
「そりゃぁ、よかった。」
それなら いつまでも特殊部隊監視係が勤められるな?
少女の想いになんて、全く気付かず、
少年は、そう笑った。
にっこりと。
年に不相応なほど、
否、 16という年相応に、 温かく幼い笑顔で。
「うん。いつまでも。」
少女は ちっさく頷いて 空を見上げた。
想いなんて届かなくたって良い。
側にいられるなら。
それに永遠という形容詞がつくなら。
それだけで幸せを感じられるから。
司令官、 あなたについていきます。
* * *
もちキャラというお話をしていたので、
ちゃんとまともに書いてみた。
少年が彼で、 少年の友達が彼で、 少女が彼女です。
あのー 6女が元になった 彼女ね。
・・・遊んでますね。
よし そろそろだ。
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