そっと微笑んだ
ゆめ。
そんなものを持っていた自分は
だけど今は もう此処にいない
わかっていたから
涙は流れなかった
零れたのは小さな笑顔と、
溜息
それだけなんだ
* *
世界は素敵と 本気で思っていた
本気で 言葉にしていた
そんなあの日を思い出しながら
僕は赤く染まった自分の掌を見る
ねぇ
こんな筈じゃ なかったのにね?
* *
世界の中心
そんなもののことを考えたことはなかった
そう言っていた私が
今 巨大なモニターの前に立っている
手の中には赤色のボタン
世界の 終焉の ボタン
世界の中心に立てば
世界を終わらせることなんて いとも簡単にできるのだ
オワリノトキマデアトサンビョウ
* *
アナタナンテダイキライ
流れた涙の温もりを感じながら
私はそっと呟いた
あんなにも輝いていた世界が
闇を帯びる
くもった視界には
どんな光も映らない
あなたは、けれど 笑っているのでしょうね
そう思ってから、
衝動に身を任せるまでは一瞬だった
わたしにはすべてをおわらせられるから
* *
不治の病。
そう 言ったわね。
私が、そんなものにかかっていると、
そう 言ったのね?
それなら、 こうしましょう
みんな、
私と一緒に死ぬの。
私と一緒にすべての世界が終わるの
* *
この前、 後輩が本気で 言っていた言葉をせりふ調にすると。
ねぇ、
こんな世界 終わっちゃえばいいのに。
人間が大嫌い。
だから、
私が死ぬ時、 世界すべてが終わればいいのよ。
世界の中心は私なんだから
だれも文句言わないでしょう?
・・・・・・
他の後輩が本気で宥めてあげていましたが、
しかし なんというか、
あんな、お子様みたいな子が そんなこと言うとは・・・++;
私なりの彼女への答えは、 まぁ あるのですが、
こんな怖いことを本気で考えている人がいるというだけで 怖ろしくて。
だって、
こんな人が、 もしアメリカの大統領にでもなれば
一発で世界は終わります。
セカイノシュウエン
・・・ それなりの進学校にきている女学生が言っているのだから、
可能性は0ではないですよね。
あーぁ 怖ろしいな。
* *
あなたが見ている世界は、
どんなに他人のことを想っていようとも
誰かのために動いていようとも
あなた中心の世界です。
あなたが世界の中心で、
あなたが世界の核なのです。
もし あなたに死が訪れるなら、
あなたが見ている世界は、同時に終わりを迎えます。
あなたがいる世界は終わり、
あなたの周りにいる人々は滅びます。
それで 十分ではないですか?
あなたの死は
世界の破滅と同義なのですから。
* *
一人一人に生きる権利があるのだから
誰にも
どんな人間にも
人を殺す権利なんてない。
* *
どんなに汚れて見える地上でも
光り輝く花が 道端に咲いていて
さんさんと降る日光が 私を照らし
星の明かりが 湖に映る
世界は こんなにも美しい
* *
小さな感動を重ねていける人間に乾杯
* *
いろんなことを本気で語れる
仲間たちに 乾杯
* *
可愛い可愛い後輩たちへ
愛とまでは言わなくても
愛情を たくさん 込めて。
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