記名をする時、何故かいつも太陽マークを名前の横に書いてしまう風名の何気ない日記です。
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此処は、「夕焼けの街」(あーぽんとの共同経営)というオリジナルイラスト・小説サイトの日記コーナーとしてスタートした風名のブログです。
あくまで日記なので、内容は日記以外のなんでもありません(笑
愚痴、戯言、ネタバレなんでも含みますが、どーぞよろしく
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映画鑑賞・読書・ピアノ
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ピーターパンであって、魔女っ娘であった季節もありました。
今は、一応、西の国の医学生。 がんばります。
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ねぇおとうさん。花火、いきたいなぁ・・・ねっ おにいちゃんも行きたいよねっ?お祭り。
祭りあるのか?
うん!変なのがいっぱいいる広場の近くで、花火あがるんだ。
わぁお、それはいいな。俺も行きたい・・・なぁ 母さん?
あら いいわね、それ。
じゃぁ・・・

わかった、 行こうか。


十年前、
そんな何気ない会話を元に、 俺達家族はこの場所にやってきたんだっけ。

五つのモニュメントで囲まれた広場の中心に、俺は一人立っていた。
周りには人っ子一人いない。
当たり前だ。
ただでさえ郊外に位置する何もない広場に、
平日からやってくる人間なんて、いない。

へぇ、こんなに狭かったんだなぁ。

あの日は あんなに人が溢れていたのに・・・と 俺は不思議な感慨に浸っていた。
見たことがある筈のモニュメントたちも、記憶に残っているものは何一つない。

母を祭りに連れてこようと思ったのは、思い付きだった。
でも、なんせ十年前。
父と妹が死んでから、俺達は面倒見の良い親戚の下へと引っ越したから、この辺の地理にはすっかり疎くなってしまった。
俺がまだ当時はガキだったこともあり、場所だって覚えてない。

だから 下見という訳だが…

へぇ、此処はなんと寂しいとこだろう。

風が吹く音だけが異様に響く。
アスファルトの色は、夏空の下においても、どこか寒い雰囲気を醸し出していた。
でも、確かに此処なのだ。

「母さんは、こんなところでも喜んでくれるだろうか・・・」

家族全員が揃った最後の思い出の場所。
病気がちになってきた母に再び見せるなら、今しかないと思う。
だから・・・

―― お兄ちゃん、お祭りいこうよ!

不意に幼い女の子の声が聞こえた気がした。
「!!」
慌てて周りを見回すも、勿論誰もいない。

気のせいか・・・

俺は、そのままその場所を後にした。


「まぁ・・・お祭りだなんて。」
遠慮してはじめは渋っていた母だったが、その神社へ連れてくると目を輝かせた。
「此処、4人で来たわねぇ。」
そう、4人で来た。
・・・ 今は2人だ。

「ねぇ、ラムネを買いましょうよ。かずさがいつもねだっていたもの。」
「そうだね、母さん。」

手近な出店に近づくと、そこには見覚えのある、一風変わったラムネ瓶が並んでいた。

「まぁ、金魚。」
母の瞳が少女のように輝いた。
「金魚・・・だね。」

それを見て、俺は思い出す。
十年前 広場でした会話を。

ねぇお兄ちゃん。 あたし、あれが一番好きだな。
・・・あん?
あれ・・・。お面の奴。
何でだよ。 ラムネとかの方がいいと思うけど。金魚入ってんだぜ?
・・・えー!やだよー!! 可哀想じゃん。
はぁ? だってお面だって 気色悪いだろ?
いや、お面がいいの。 だって・・・・

「花火始まるわね。広場に行きましょう。」
明るい声に 俺は我に帰る。
母を見れば、 両手にラムネ瓶を握っていた。
「ありがとう、母さん。」
俺は瓶を受け取って、 蓋代わりになっている金魚(の人形)を瓶の中へと押し込んだ。
そのタイミングで、ぱーん、 と大きな音がする。
「急ぎましょ。」
母親は なんだか嬉しそうだった。


何年ぶりかしらねぇ。みんなで花火を見た時以来だから…」

十年だ。

母のしみじみとした呟きに、俺は、涙が零れそうになるのを堪えるため、周りをすばやく見回した。
花火の時間が近いからか、それとも今日はずっとこんな感じなのか、それはわからないが
下見の時からすれば考えられないほど、その場所は人で溢れていて・・・・・・。
それだけに、 その広場は、
とても広い空間に感じられた。

・・・嗚呼 此処だ。

此処こそ、 十年前に俺達が花火を見た場所だ。

「変わってないなぁ…ほら、これこれ、このお面、あいつが好きだった奴。

俺は、花火なんかには目もくれず、そのモニュメントまで一直線に歩いていった。
お面が二つ、背中合わせに――と言っても、お面だから背中なんてないのだが、――立っている。いや、お面だから足もないが。
俺の小さい頃の感性と、今の感性は大して変わっていないようで、
やっぱりこのお面を見ても、『阿呆面』との感想しか俺は持たない。

持たないんだけど、
かずさは こいつが・・・

「あの…すみません。写真、撮っても良いですか。」


考えていると、話しかけられた。
見ず知らずの女性。
タンクトップに ショートパンツ。
あまりにラフすぎる格好からして、彼氏はいないのだろう。

・・・と瞬時にそこまで考える自分の思考に呆れる。
 
「写真家を目指してるんです。それで…」

そう続けた彼女は、とても優しさに満ちた顔をしていた。
・・・あれ?
この表情、何処かで・・・

俺はしかし自分の思考を振り払うと、 軽く頷いて、 母親を像の前に連れて行く。

「かっこよく頼みますよ。」

言って、自分も位置につくと、
もう一度、お面を仰ぎ見た。

そして、あの時の妹の言葉の意味に やっと気付く。

嗚呼、そうか。
 優しさに溢れた、幸せそうな笑顔。

・・・ お前の言うとおりだよ、 かずさ。
こいつが 一番だ。


だって
みんなを幸せにしたい、って
僕は幸せなんだ、って
そんな顔してるもの


*  *  *

昨日課題研究の話し合いしてきたので、 勢いで書いちゃいました!
・・・ 花火見に来た、お兄ちゃんの視点で。
因みに、和彩ちゃんと 同じ 2月の没ネタネームから、 お兄ちゃんに涼伶と名づけてみました。
タイトルにしか入れてないけど。
更に言えば、 りれいくんは、 元々は女の子の名前です(笑

そう、
没ネタだしたの2月だから、 けして みんちゃんの名前が元になってる訳じゃないんだよ! ってのも言いたかった(笑

そうそう、 待ち合わせって言うのがテーマだった本編ですが、
あれは、
「夢と待ち合わせ」ってことに したかったんですよね。
だけど かずさちゃん側が 「おとーさんとの待ち合わせ」ってことになってたので、
そっちに取られて、 若干ショックだったり。
でもよく考えたら、 草っぽい名前の彼女の、お父さんエピソードこそ、
こっちの広場に絡めた方が
夢を この場所に忘れていた、ってことになって よかったような気がします。
今更な後悔。
でも まぁ 忘れ物がテーマな訳じゃないので、
夢と やっと会えた場所、 で 待ち合わせ。 ってことでいいかな、と思ってます。

全体のタイトルさぁ、 待ち合わせで良いんじゃないの? って思えた。
あと
みんなタイトルつけてから言うのもなんだけど

OOと待ち合わせ っていうタイトルに全部統一しても面白かったかも(笑

すっごく今更でした(苦笑)


という訳で こっそり 課題研究のサイドストーリー企画終了☆

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