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#1
雪は積もらない。降ってもいない。だが、空は白くて、景色は霞む。
今日の寒さは凍てつくようだ、と僕は思う。
ゆったりとしたダウンジャケットの下には、デニムのジャンバー、その下にトレーナー、長袖のTシャツ、半そでのTシャツを着ている。完全防備の態勢だった。それでも、外気に接する顔や掌が悲鳴を上げている。
「暑苦しいよ、流くん」
そんな僕を一目見て、挨拶よりも何よりも先に莉亜はそう言った。
「君は寒々しいよ、莉亜」
僕は口を尖らせて、そう返す。
彼女はTシャツに、ショートパンツ、サンダル、という出で立ちだった。真夏だ。
因みに今は3月6日。此処は日本国である。
「暦の上では春なのよ。」
ふふんと彼女が笑うので、
「温度計では冬だよ。」
と僕はさらに頬を膨らませた。
2012.3.6